2019年に学んだ「意思決定」の際に大切にしていること
- はじめに
- 素早く決める。決断のハードルを下げる。
- 選択の先を見極める。「不可逆な意思決定」は慎重に検討する。
- 勇気と蛮勇 ~重要な決断で犬死はしないこと~
- 聞こえの良い理想だけではなく、現実を生きるために覚悟を決める
- おわりに
はじめに
12月も下旬に差し掛かろうとしているので、この機会に本年の振り返りを行い、頭の中も整理しようということで備忘録を兼ねて投稿。
QAチームのチームリーダとして役割を担い始めたのが2018年の12月なので、今年は丸1年リーダー業をなんとか実施することができた。
あらためて今年を振り返ってみると、2019年は否応なしに「意思決定」を求められた一年だったと思う。
QAチームのリーダーをやりつつCSチームに異動したり、タスクフォースを1年間継続させるために奔走したり、これまでに実施したことないプロジェクトを成功に導くためには全体の流れを自身で描きつつ問題に対して解決策を実践することが必要で、その時々で重要な意思決定を迫られる場面が何度かあった。
思い返すと、上手く行ったものや、別の手があったかもという筋の良くないものもあったが、何度かそういった意思決定を繰り返し経験をすることで、自分の中で重要なポイントみたいなものが存在することを朧気ながら感じた。
今回は大事だと思ったポイントや考えについて、共感した書籍・ブログ記事等を紹介しながら書き残すことにした。
素早く決める。決断のハードルを下げる。
普段過ごしているチームの開発手法であるスクラムはよく分からない事(不確実性)に対してアプローチする手法だと考えている。
仮設検証を短いサイクルで回しフィードバックを受けることで、目的に対してその都度方針を修正しながら大きな目標に向かっていくフレームワークだと思っている。
そのため大事なことは、方針を素早く決める(仮説検証サイクルを回すこと)だし、決めた後もその都度修正するものだからこそ、選択自体に時間をかけないことは重要だと思っている。
意思決定の速さみたいなのはSmartHRの代表、宮田昇始さんのブログはとても共感できたので非常におススメ。(この記事は短いのですぐ読める。)
また、やってみるとわかるのですが、ミスって変なものを頼むことは少なく、結果に差を感じないんですよね。逆に、熟考しても失敗することはある。よく『 "5秒で考えた手" と "30分かけて考えた手" は、実際のところ86%が同じ手である』と言いますが、「熟考しても結果に大差はない」「結果が悪くても大したことない」ということを日常的に刷り込むのがいいのかなと思います。
選択の先を見極める。「不可逆な意思決定」は慎重に検討する。
では何でもかんでも素早く判断すればいいんだっけと聞かれたら、自分の答えはNoだ。
なぜなら、一度判断したら取り返しのつかないことや撤回することができない選択も中には存在するからだ。
重要なことは先ほど書いた、「素早く決めるもの」と「慎重に決めるもの」を見極めることだと思う。
前の項目で書いた通り、「素早く決めるもの」=「後で修正できること」だと思えば分かりやすい。
では逆に「慎重に決めるもの」は何だろう。自分の中では下記のブログの「不可逆な意思決定」というのが自分の中でしっくり来たので紹介したい。
不可逆な意思決定とは、一言でいえば、「一度決めて前に進めてしまうと、簡単に元の状態には戻せない意思決定」のことです。スタートアップにとってはまさに資本政策がそうですし、価格を下げる意思決定なども(価格は一度下げてしまうと上げずらいという意味で)不可逆な意思決定に当てはまると思います。
他にも、普段自分が大事にしなければいけない観点も「慎重に決めるもの」に含まれると思う。
例で言うと、QAエンジニアなら「人・モノ・カネに関係するテスト」は繊細に扱うテーマなのでこう言ったものも判断材料を集め、慎重に検討する意思決定の類だと考えられる。
勇気と蛮勇 ~重要な決断で犬死はしないこと~
不可逆な決断や重要な決断をするときに大切なことは、適切なタイミングや目的に即した決断なのか客観的かつ冷静な判断が必要だ。
2019年の自分はあまり出来なかったと思っている部分だと考えている。
結果として、自分に起きる変化・影響は考えられてもチームのメンバーの影響やもっというと周りがどう思うかまでは考えが至らず、多大なる迷惑をかけ失敗したこともあった。
実際、仕事上の決断なので命までは取られないのだけれど、危機的状況の中でも冷静な判断を下すということはすごく難しい。
そういったメンタルや心の在り方について、新渡戸稲造は「武士道」の中で「勇」として言及しており、とても参考になった。(できるとは言ってない。)
下記は書籍の中の水戸光圀の言葉
「戦場に飛び込み、討ち死にするのはいともたやすきことにて、身分の賤しき者にもできる。生きるべきときは生き、死ぬべきときにのみ死ぬことこそ、真の勇気である」
武士道 | 新渡戸稲造著 岬龍一郎訳 | 書籍 | PHP研究所
聞こえの良い理想だけではなく、現実を生きるために覚悟を決める
危機的状況に陥った時や、あるべき姿と現実が乖離している場合、なんらかの手段を講じる必要があるのだけれど結構な割合であるべき姿、理想に向かって一直線に進もうとした結果、上手く行かないケースをよく見てきた。
そうしたケースは理想と現実の乖離があまりにもかけ離れている場合がほとんどで、その時の急場をしのぐ最善の手段になっていないからだ。
大事なことは急がなければならないのはもちろんだが、焦らないことこそが重要だと思えるようになった。
理想と現実の乖離を埋めるため、決定したことを実現するために、耐え忍びながら変化していくことを受け入れる必要がある。
現在の課題を一気に解決してくれる銀の弾丸は無いし、忘れがちな当たり前のことを積み上げていく意識をすり合わせすることの大切さを学んだ。
ちなみに、改革をテーマにしたときに戦略企画室の方に「上杉鷹山」についておススメされたので本を読んでみたところとても共感できたので紹介しておく。
備えのほうは予定通りには進まない。そのうちに困難な事態のほうが先に押し寄せてきてしまう。これに対してどうすればよいか。
有効な手段などあるはずがない。最善の方法がなければ、次善、三善の策を、それもなければ、少なくとも最悪でない方法を取るよりほかにはあるまい。
また、本の中で鷹山の根底にあるものは以下と書かれており、TeamGeekのHRTを思い出した。
米沢藩における鷹山の政治および経済政策は、ただ施策として優れていたばかりではない。その底には、鷹山の無比の誠実さと謙虚さ、そして人々に対する地合いの心がゆるぎなく根を下ろしていた。
HRTとは
- 謙虚(Humility)
- 尊敬(Respect)
- 信頼(Trust)
おわりに
つらつらと思ったことをいろいろ書いた結果、結構な量になってしまったけれど、普段自分の意思決定がどのように考えて、何を大事にしているかみたいなのの一片をアウトプットできたのは個人的にはよかったかなと思う。
重要な決定をした後は、その選択を正しい結果に進むように努力する必要があると思っていて、そのためにチームリーダーは、協力できるための仕組み・環境を整備したり、意思決定のプロセスがメンバーが納得できる説明・透明性を確保することなんだろうなぁと思っている。
もちろん自分もスクラムチームの一メンバーでもあるので、最後に自分が大切にしている「銃士の姿勢」を紹介にして終わりにしようと思う。
大事な決断って結構メンタル削られたり、不安だったりするのでそういう人を見かけたら一緒に共犯になって片棒を担ぐようにしている。
開発チーム(とスクラムチーム!)のメンバーは、三銃士と同じ姿勢を持たなければならない。「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」である。この銃士の姿勢は、仕事を成し遂げる責任をチームメンバー全員が負うという点を強調する
おわり。
以上の記事はチームスピリットアドベントカレンダーのExtra Post枠(控え)